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CITIZEN シチズン

CITIZEN―市民―の名を与えられたシチズン(CITIZEN)は、1918年に創業された尚工舎(しょうこうしゃ)時研究所から歴史の端を発する、メイド・イン・ジャパンを代表する時計メーカー。1924年に同社が独自の設計によって開発した、懐中時計の第1号モデルを発売した。このとき、当時の代表・山崎亀吉と親交があった東京市長の後藤新平が、<市民に広く愛されるように>という願いを込めて、この記念すべきファーストモデルに「シチズン」というペットネームをつけた。それが6年後、新社名として採用されたのである。17世紀から脈々と伝統を継承するヨーロッパに比べて、日本の機械式時計の製造は遥かに遅れてスタートした。それゆえシチズン創業当時は舶来時計の人気が高く、国内で生産された時計が認知されて信頼感を得るまで少々時間が必要だった。しかしシチズンは短期間で技術研鑽を重ねながら、古来の「モノづくり」精神を発揮した、揺るぎなき「日本品質」をつくり上げていったのである。こうして長年、研究開発に腐心したシチズンの実力は、1956年に発表された、国産初の耐震装置を備えたモデル「パラショック」によって証明される。その強度を実証するために、地上30mの高さから落下実験を行なうなど、斬新なプロモーションも話題性に拍車をかけた。また精度の面においても、舶来ブランドに劣らぬ正確さをすでに実現していたシチズンは、この時期を境に市民権を得ることになる。1970年代に入ると、従来の機械式時計からクォーツで駆動する時計を中心に展開し始め、世界初のデジタル式アラーム機能搭載の時計や、太陽電池充電式時計、電卓機能つき時計を発表するなど、エレクトロニカルな技術を駆使した次世代型のムーブメントの開発によってアドバンテージを築いた。そしてシチズンはもはや国内だけではなく、世界の市民に広く愛用される時計メーカーへと成長を遂げたのである。また近年のシチズンは、わずかな光でも発電し、電池交換が不要なクリーンエネルギー発電システムの「エコ・ドライブ」や、国内、海外の送信所から発信される標準時刻電波を受信して、自動的に時刻修正を行なう「電波時計」に主力を注いでおり、特に環境保護が提唱される昨今、世界中からその動向に注目が集まっている。 2008年は、機械式時計では数百万円から数千万円級の値段がつく超複雑機構を、クォーツ式のムーブメントで体現した「カンパノラ」のシリーズに、立体的な3Dダイヤルが美しい「カンパノラ エコ・ドライブ クロノグラフ」や、人気モデル「カンパノラ パーペチュアルカレンダー」のブランニューカラーなど、新作が数点加わった。このほか、源氏絵巻のストーリーをコンセプトに据えたレディースラインや、電波時計を搭載したダイバーズウォッチなど、話題作が目白押しだ。